白球と最後の夏~クローバーの約束~
今日の試合は、先攻が青雲高校・後攻が翔南高校。
一塁側は青雲高校の大応援団で埋まり、試合前にも関わらず応援歌の熱唱が繰り広げられている。
この熱い暑い夏の始まりに、これ以上ないってほど熱のこもった応援歌・・・・。
一塁ベンチ下で稜ちゃんたちと応援歌を聞いていたわたしは、緊張と興奮で一気に胸が張り裂けそうになった。
『まもなく本日の第4試合・・・・』
すると、応援歌の間を縫うようにしてアナウンスが響き渡った。
「行くぞー!」
稜ちゃんがすくっと立ち上がり、みんなを促した。
「「「オーッ!」」」
大森君や井上君や・・・・ベンチに入った面々が稜ちゃんの後に続いてマウンドに駆け出していく。
・・・・いよいよだ。
いよいよ試合が始まる。
瞬く間に整列していく両チームの白いユニホームが、やけに青空に映える。
稜ちゃんが背負った背番号【2】
打順は1番。
小さな頃から一つも変わらないキラキラ輝くその姿に、わたしの胸は安心感と・・・・少しの切なさを覚えた。