白球と最後の夏~クローバーの約束~
「「よろしくお願いします!」」
緊張を解きほぐすように大きな声を張り上げた両チーム。
その声は、拍手と歓声に溶けて空に吸い込まれていく。
「頑張って、みんな・・・・」
わたしは手を胸の前で強く握り、震える口で小さくつぶやいた。
あいさつが済むと、いったんベンチに戻ったナインが円陣を組みはじめる。
先頭になって何かしゃべっているのは稜ちゃんだ。
「今日の試合に出るメンバーだけじゃない。応援席のメンバーも、監督もマネージャーも、全員一緒に戦うんだ!」
気迫のこもった声の稜ちゃんに、みんなの視線が集まっている。
「初戦でガチガチになると思う。でも、そのときは俺を見てくれ。俺はいつだってみんなを見てる」
みんながユニホームをつかむ手にグッ!と力が入った。
「ホームは誰にも踏ませない。俺を信じて投げろ!まずは出だしから強気で攻めていこう!行くぞー、青雲・・・・」
「「「オーーーッ!」」」
一斉にダンッ!と地面を踏み鳴らすと、勇ましい雄叫びとともに円陣は解かれた。