白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
“ホームは誰にも踏ませない!”

“俺を信じて投げろ!”


なんて心強い言葉なんだろう。
なんて安心する言葉なんだろう。

これこそが稜ちゃんの、ううん、キャプテンのキャプテンたる由縁なんだ。

開会式の日、岡田君が言っていた「稜以外に投げれる気がしねぇ」の意味がよく分かる。


みんな、稜ちゃんの言葉に一体どれくらい救われているんだろう。

わたしも笹本先生も岡田君も、どれくらい救われているんだろう。

稜ちゃんがキャッチャー以外のポジションだったら、キャプテンじゃなかったら・・・・。

もしかしたら、ここまでのまとまりはチームにはなかったのかもしれない。

そう思わせる、風格漂う稜ちゃんの背中、背番号【2】。

素振りをしながらバッターボックスへ向かう稜ちゃんが誰よりも輝いて見える。


その姿を見送りながらマウンドに目を移すと、180cmはあろうかという翔南のピッチャーが入念に投球練習をしていた。

その長身から投げられるボールは独特で、バッターには脅威にすら感じるかもしれない。

負けるな、稜ちゃん!
 

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