白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
なんともいえない不思議な感覚で、胸がキュンって鳴って。

稜ちゃんにドキドキするなんてこと、今までなかったのにな・・・・。

あれ? って。


「じ、じゃあさ・・・・わたしがおまじないかけてあげるよ」


初めて感じた胸のドキドキを精一杯隠しながら提案してみた。


「おまじない?」

「うん!四つ葉のクローバー見つけたら幸せになれるんだって!」

「へ〜」


なんだかいい反応。

四つ葉のクローバーのジンクスに興味を持ってもらったことが嬉しくて、わたしはそのまま続けた。


「稜ちゃんがこれからは絶対負けないっていうおまじないだよ!」

「・・・・うん!」


よかったぁ。

稜ちゃんは、いつもわたしに見せてくれる、ニカッという笑顔で笑ってくれた。

それだけでわたしはとびきり嬉しくて、幸せな気分だった。





このとき以来かな。

稜ちゃんとは、あんなに近くで笑い合うことはなくなったような気がする。

でも、今でもこうして目に焼き付いているんだから不思議だよね。
 

< 32 / 474 >

この作品をシェア

pagetop