白球と最後の夏~クローバーの約束~
なんともいえない不思議な感覚で、胸がキュンって鳴って。
稜ちゃんにドキドキするなんてこと、今までなかったのにな・・・・。
あれ? って。
「じ、じゃあさ・・・・わたしがおまじないかけてあげるよ」
初めて感じた胸のドキドキを精一杯隠しながら提案してみた。
「おまじない?」
「うん!四つ葉のクローバー見つけたら幸せになれるんだって!」
「へ〜」
なんだかいい反応。
四つ葉のクローバーのジンクスに興味を持ってもらったことが嬉しくて、わたしはそのまま続けた。
「稜ちゃんがこれからは絶対負けないっていうおまじないだよ!」
「・・・・うん!」
よかったぁ。
稜ちゃんは、いつもわたしに見せてくれる、ニカッという笑顔で笑ってくれた。
それだけでわたしはとびきり嬉しくて、幸せな気分だった。
このとき以来かな。
稜ちゃんとは、あんなに近くで笑い合うことはなくなったような気がする。
でも、今でもこうして目に焼き付いているんだから不思議だよね。