白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「は・・・・入った!」

「ホームランだぜ!」

「しかも一番深いところ!」

「稜ー!稜ー!」


わたしの横で、チームメイトたちが身を乗り出して歓喜の声を上げている。

ガッツポーズをしたり、両手の拳を振り上げたり、それぞれの喜び方で稜ちゃんのホームランを祝福している。

いつもはどっしり構えている笹本先生も、腰のあたりで小さなガッツポーズを作っていた。

きっと、応援席のほうでも同じ。

飛び跳ねたり抱き合ったりしながら、全身で喜んでいるに決まってるよ!


すごいよ!

すごいよ!すごいよ!

すごいよ、稜ちゃん・・・・!!


歓声と自分の目で打ったボールがもうホームランになったと確信した稜ちゃん。

走るスピードを緩めて、二塁を蹴って三塁を蹴って・・・・。

そして、一周してきたことを確かめるようにホームベースを両足で踏んだ。


わたしが春に妄想していたことが現実になった・・・・!

ホームランを打って、ガッツポーズをしながらダイヤモンドを一周する稜ちゃん。

それが現実に・・・・!
 

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