白球と最後の夏~クローバーの約束~
笹本先生だって口では厳しいことを言っていたけど、言葉と顔が全然噛み合っていなかった。
「気を抜くんじゃないぞ!大会はまだまだ続くんだ!」
なんて言っても、快勝したことが嬉しいものは嬉しいらしくて。
ピリッ!と引き締まるどころか、ふにゃふにゃした顔になっていたっけ・・・・。
“指導者”としてみんなを引っ張る立場の先生。
嬉しい気持ちは心にしまっていても、やっぱり顔に出ちゃうものなんだよね。
この最高の出だしに、わたしの作ったお守りやココちゃんと折った鶴の力も少しは入ってるかな。
もしも入っているなら、飛び上がるほど嬉しいんだけどな。
・・・・どうかな?
わたしの夢をみんなに託して戦っていくこれからの日々。
稜ちゃんと交わした約束を、みんなの肩に少しずつ乗せてもらって戦うこれからの日々。
どうか・・・・。
どうか、みんなの夢と一緒にわたしの夢も乗せてください。
わたしにも“甲子園”という大きな夢を見させてください。
どうか・・・・。
お願いします、野球の神様・・・・。