白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「キャーーッ!」

「青雲ー!青雲ー!」


選手たちがグラウンドに姿を現すと、とたんに耳をつんざくような歓声と青雲コール。

一塁側に目をやれば、西ノ宮の応援席も歓声と西ノ宮コールに沸き返っていた。


西ノ宮の深紅に染まる大きな校旗が、夏の暑い風になびいてハタハタと揺れている。

そして、堂々とフェンスに結わえ付けられた特大の横断幕。

それには、同じく深紅に染まった生地に白い文字・・・・。


   ┏        ┓
    西ノ宮 必勝!
   ┗        ┛


対するわたしたち青雲高校は、校名の由来ともなっている濃い青色の校旗。

それから、同じ色をした、西ノ宮にも引けを取らない大きな大きな横断幕。


   ┏        ┓
     夢の甲子園へ!
   ┗        ┛


そう書かれている。


“決勝戦”ともなると、注目度も半端なく高い。

仕事を休んで観戦しに来たスーツ姿の人、夏休みに入ったということで将来の野球選手の卵・野球少年たちも大勢詰めかけていた。
 

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