白球と最後の夏~クローバーの約束~
頭からプシュっと湯気を出した稜ちゃんは、バシッ!バシッ!とみんなのお尻を叩く。
わたしは、急に冷やかされて真っ赤なゆでダコ状態・・・・。
そんな顔で、稜ちゃんとみんなのじゃれ合いを見ていた。
・・・・あれ? 涙止まってるし。
顔が一気に熱くなったから、もしかしたら蒸発しちゃったのかも。
・・・・なんて。
涙を止めてくれたのは、悲しいかな、みんなだった。
「まぁでも、試合前に余計な緊張が取れて、なんかだすっきりしませんか?」
すると、大森君がニコニコと笑いながら助け船を出してくれた。
さすが大森君!
稜ちゃんとバッテリーを組んでいるだけあって、何かとフォローがうまい!
「まぁ・・・・そうかも」
「そう言われればなぁ」
「なんとなく・・・・」
大森君の助け船が功を奏して、みんなは一気に試合モードに突入。
自然と冷やかしの目線や声もなくなっていった。
それを見て、稜ちゃんはわたしに“まったくよ・・・・”と苦笑い。
いつの間にか、わたしの緊張もほぐれていた。