白球と最後の夏~クローバーの約束~
最初の打席でガチガチに緊張していたのか、西ノ宮の2番バッターはピッチャーゴロに倒れた。
大森君の決め球には手を出さずに遊び球のほうにばかり手を出してしまって。
ボールをバットの芯でうまく捉えられなかったせいで、打球に威力がなかった。
3番バッターは甘く入ったストレートに照準を合わせてヒットを打った。
でも、4番は逆にボール球でもバットを振って結局三振。
1回の表は、ランナーが一塁残塁のまま終わった。
ベンチに戻ってきたナインに笹本先生が檄を飛ばす。
「向こうのエンジンがかかりきる前に攻め込め!先取点は必ず青雲が取る!いいか!」
「「「はいっ!」」」
「決勝は甘くはないぞ!表が良かったからといって気を抜くな!いいか!」
「「「はいっ!」」」
そして、すぐに打席に入る1番バッターの稜ちゃんに向かって、先生はさらに檄を飛ばす。
「長谷部、まずはお前が打たなければ試合は進まない!必ず塁に出て井上たちを後に続かせろ!」
「はいっ!」
「よし、行ってこい!」
「おっしゃーっ!!」