白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
稜ちゃんの背中をバシッ!と強く叩いて、バッターボックスへ送り出す先生。

稜ちゃんは先生に小さく頷いて、自分のほっぺをパンパンッ!と叩いて気合いを入れ、力強い足取りで向かっていった。


マウンドでは、西ノ宮の先発ピッチャーが投球練習中。

去年の夏の大会でも秋期大会でも練習試合でも対戦したことのない西ノ宮は、試合の成績だけで見ればよく打つチーム。

だけど、ピッチャーに関してはそれほど詳しいデータがあるわけじゃなくて。

試合のビデオを見て研究もしたけど、実際に体で体験しないと、どれほどのものかは分からない。

想像は想像。

だから、1人1人が目で見て体で感じて、この試合中に慣れていかなきゃならないんだ。


まずは稜ちゃん・・・・。

1番バッターはいろんな意味で重圧がかかるポジション。

その重圧をはねのけてきた稜ちゃんだから、必ずすぐに何かがつかめるはず。


応援席では、稜ちゃんが打席に立つときのテーマ曲『狙い打ち』が演奏されはじめた。

応援が背中を押してくれる。

大きな力になる。

大丈夫!
 

< 347 / 474 >

この作品をシェア

pagetop