白球と最後の夏~クローバーの約束~
ベンチからは、みんなの声がひっきりなしに飛び交っている。
応援席でも、稜ちゃんを応援する声がまるで嵐のよう・・・・。
この嵐の中に、ほかの部員たちや岡田君の応援も必ず入っている。
みんなの声を味方につけて!
「稜ちゃん、稜ちゃん・・・・」
わたしは、小さな声で何度も名前をつぶやいていた。
稜ちゃんが構え直すと、第4球。
今度はボール。
ストライクゾーンを大きく外れたボールは、キャッチャーが片膝をついて取った。
きっと今のは遊び球。
西ノ宮バッテリーには、なんだか余裕があるようにも見える。
・・・・それが悔しい。
でも、やっと1つ、掲示板にボールのランプが灯った。
稜ちゃんは、また足場を念入りに整えて構え直した。
すると、第5球。
フォーク!
ブンッ!
「「「あぁ〜・・・・」」」
青雲の応援席のほうからは、どよどよと落胆ため息がもれた。
稜ちゃんのテーマ曲『狙い打ち』は、2回目の演奏の途中で井上君のテーマ曲に変わった。