白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
この大会中、4割近い高打率を誇り、怖いくらいに当たっている上田君。

前の3人を見てきたから、上田君の頭の中にはホームランのイメージだってあるのかもしれない。


西ノ宮のピッチャー、稜ちゃんのときは立ち上がりも良好に見えたけど・・・・。

今は立て続にランナーを出す結果になって、だいぶ焦りが出てきたみたい。

先発を任された重みか、汗をぬぐう回数も極端に増えている。

そこに4番の上田君だから、プレッシャーがかからないなんてものじゃ・・・・ってバカ!


こんな大事なときにどうして相手の心配をしてるの、わたし!

得点のチャンスじゃない、しっかり上田君の応援しなきゃ!


なぜかそこで相手ピッチャーの心配をしてしまったわたし。

本当、バカ・・・・。

なんでなの!?

そんなバカな自分を追い払うように、わたしはブンブンと勢いよく頭を振った。


「ぷはっ・・・・!何やってんだよ、マネージャー」


すると、そんな声が・・・・。

ハッ!と我に返ると、目の前には笑いながらわたしを見ている稜ちゃんがいた。
 

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