白球と最後の夏~クローバーの約束~
顔中に土を付けてまでホームに突進していった井上君だもの・・・・。
次の打席でも必ず打つし、今度こそホームも踏める!
わたしは“大丈夫!”と頷いて、笑って井上君にタオルを渡した。
その間に試合は進んで、ツーストライク、スリーボールとフルカウント。
大森君は西ノ宮バッテリーにギリギリまで追い込まれていた。
「ボールよく見ろー!」
「打てるぞー!」
ベンチではみんなが身を乗り出して応援し、青雲高校の大応援団は大森君の名前を叫んでいる。
試合展開は追い風、いける!
そう確信していたけど・・・・。
「ストライク!」
無情にも大森君が振ったバットは空を切り、主審はストライクを取った。
1回の表が終了。
得点圏の二塁三塁にランナーが残塁のまま、スリーアウトでチェンジとなった。
西ノ宮ピッチャーは「おしっ!」とガッツポーズを作ってベンチに戻っていく。
悔しい・・・・。
あと少しだったのに・・・・。
次の攻撃こそは、必ず青雲がホームベースを踏んでみせる!