白球と最後の夏~クローバーの約束~
でもわたし・・・・。
心配とかじゃなくて、何か自分にできることがほしいの。
みんなのために何かしたいの。
「・・・・わたしにできることがないよ。わたし、みんなに何もしてあげられない」
気づくと、稜ちゃんを見上げてそう言っていた。
「何言ってんだよ。マネージャーは今まで俺らをたくさん支えてくれた。3年間ずっとな。それだけで、もう十分」
「でも・・・・」
「さっきも言ったろ? 信じて応援していればいい。それが必ず俺らの力になるから」
稜ちゃんは、そう言ってまた優しく微笑んでくれた。
でも、わたしは返す言葉がない。
そんなに優しい言葉・・・・もったいなさすぎるよ、稜ちゃん。
「“甲子園に行きたい”っていうのは、俺がガキのときからずっと変わらない一番の夢だ」
わたしが黙っていると、稜ちゃんはちょっと昔の話を始めた。
三振で倒れてしまった大森君を見つめながら、子どもの頃を懐かしむように、今のプレーに悔しさを噛み締めるように。
・・・・そうか、いつの間にか試合は進んでいたんだ。