白球と最後の夏~クローバーの約束~
そんな呆れた笑顔にさえもキュン死にしかけるわたしは、どうしようもないくらいに稜ちゃんの虜。
めまいがして、目の前がクラクラする・・・・。けれどなんだか、妙に悔しくもなる。
急いで更衣室に駆けていくわたしに、稜ちゃんの視線が痛いくらいに刺さった。
タッタッタッタッ!
あった!更衣室!!
ガチャッ! バタンッ!
「はぁはぁ・・・・」
更衣室のドアを閉めると、稜ちゃんの今の言葉や笑顔に心臓が波打っているのが分かった。
それは、ここまで一目散に走ってきただけじゃない鼓動の早さ。
胸に手を当ててみても、わたしの心臓は“稜ちゃん”でドキドキしているのが丸分かりだった。
・・・・ん? さっき、校門に集合って言ってなかった?
そこでハッとなる。
夜の空気は、いくら春だといっても冷たい。
それに、わたしが起きるまで稜ちゃんはワイシャツだった。
・・・・これ以上待たせるわけにはいかないよっ!
わたしは今までにないくらい急ピッチで制服に着替えて外に出た。