白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
試合はいよいよ最終9回へ・・・・。


8回まで終わって、両チームとも無得点のままの試合。

得点板にはきれいに【0】が8つずつ並んでいる。


表の守備に向かう前に、稜ちゃんたちはがっちりと円陣を組んだ。


「この回で決着をつけるぞ!ホームは誰にも踏ませない!だからみんな、俺を信じて投げろ!」


稜ちゃんが叫ぶ。


「「「オーッ!」」」

「最後の1球まで全力で!この表さえしのげば必ず勝機は見えてくる!諦めるな!」

「「「オーッ!」」」

「1人はみんなのために、みんなは1人のために!」

「「「オーッ!」」」

「みんなを甲子園へ!いくぞー、青雲・・・・」

「「「オーーーッ!」」」


ダンッ!


さらに結束を固めるように、みんな一斉に足で地面を踏み鳴らす。

そして円陣を解き、青雲ナインたちはそれぞれの守備位置に向かってグラウンドに散っていく。


そうだよ、稜ちゃん・・・・。

稜ちゃんがいる限り、青雲のホームは誰にも踏まれない。

誰にも踏まれたりなんかしない。
 

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