白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
稜ちゃんはみんなのために、みんなは稜ちゃんのために・・・・。

青雲高校を応援してくれる全ての人のために・・・・。


“One for all , all for One”


これが一番、大事なこと。

そうだよね。

みんな自分のためだけじゃない、1人1人、大切な人を想って戦うんだ。


わたしの考えは間違っていたのかもしれないね。

稜ちゃんは、わたしに大事なことを気づかせてくれた。


“自分たちのために”


それはもちろんある。

だけど、もっと大事なこと・・・・。


“誰かのために”
“応援してくれる人のために”


そういう想いが奇跡を生んだり素晴らしいプレーを生む。

野球は気持ちでだって戦うんだ。


わたしはキャッチャーボックスに向かって走っていく稜ちゃんの背中を見て思った。


“必ず勝てる。わたしの前じゃ、稜ちゃんは絶対負けない”


そう思った。

これでいい。

これでいいんだ。


“甲子園に連れてって”


そう言ってよかった。
 

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