白球と最後の夏~クローバーの約束~
みんなが心を一つにしてこの一番辛いときを乗り切ったんだ・・・・。
わたしは、手が腫れ上がるくらいの拍手をナインに送った。
応援席のほうでも、青雲からだけじゃなく、ほかの観客たちからの拍手も送られていた。
その中をニコニコと笑いながらベンチに戻ってくる青雲ナイン。
「よくやった!」
笹本先生は、そう言いながら1人1人の背中を叩いてベンチに迎え入れていた。
9回の表は終わった。
いよいよ青雲の攻撃のとき!
今のファインプレーでモチベーションがさらに上がって、裏の攻撃は今までにないくらいバンバン打ってくれるかもしれない。
そんな期待で胸が膨らんでいく。
打順は8番の根岸君から。
ここは、普通だったら力のある選手を代打に起用したいところだと思う。
でも、笹本先生はオーダーを変えない。代打は起用しない。
「根岸、行ってこい!」
そう言って、自信を持って根岸君を打席に送り出す先生。
「はいっ!」
根岸君も、力強く返事をして打席に向かっていった。