白球と最後の夏~クローバーの約束~
その勇ましい後ろ姿、愛しい人の背番号【2】を見送りながら、試合に目を戻す。
と・・・・。
カキンッ!
「キャーーッ!」
「走れーっ!」
「行けーっ、行けーっ!」
根岸君がこの決勝戦・9回裏の大事な大事な場面で初のヒットを!
青雲の得点に結び付く最初のヒットを打った・・・・!
応援席では、根岸君の名前を叫ぶ黄色い歓声。
ベンチでは、みんながガッツポーズをしながら「おっしゃーっ!!」と雄叫び。
この大事な場面で塁に出るというプレッシャーを見事に跳ねのけた根岸君の渾身のヒット。
ここに来て、さらに青雲の勢いは増していく・・・・。
きっと、さっきのファインプレーが根岸君の力になったんだ。
バンバンッ!とメガホンを叩く無数の音、ドドドドッ!という太鼓の連打、全てが根岸君ために送られた祝福の嵐。
根岸君に続け、萩尾君っ!
バッターボックスには9番の萩尾君が入った。
ランナーは一塁、ノーアウト。
笹本先生はバントの指示。
萩尾君はそれを見て深く頷いた。