白球と最後の夏~クローバーの約束~
わたしの足音に気づいて、振り向きざまにニカッと笑う稜ちゃん。
・・・・ううっ、眩しすぎるよ。
「おせーぞ!」
そして、すごく親しげな感じで言ってくれた。
わたしが着替えている間に駐輪場から自転車を持ってきた稜ちゃんは、もう学ランを着ている。
その学ラン姿さえ、わたしには記念写真を撮りたいくらいにかっこいい。
「ごめん、キャプテン・・・・」
そんな妄想でまた熱くなるほっぺを隠すように、わたしは下を向きながら謝る。
「いいよ。早く後ろ乗りな。それから、家に帰って薬飲んで、すぐに寝とけ!」
「あ、ありがとう」
・・・・ほんとにやばい。今キュン死にしたっておかしくないよ。
少しぶっきらぼうだけど、優しい稜ちゃんの言葉。
わたしが熱っぽかったこと、気づいていたんだ。嬉しいなぁ・・・・。
それからわたしは、恐る恐る自転車の後ろにまたがって、学ランの裾を少しだけ握った。
「ちゃんとつかまっとけよ? 落ちるんじゃねーぞ?」
「うん・・・・分かってる」