白球と最後の夏~クローバーの約束~
稜ちゃんは野球が得意。
小学生の頃は、少年野球チームで中学生を差し置いてレギュラーだった。
ポジションはキャッチャー。
打順は1番。
今でもそれは変わらない。
それだけじゃない。
去年の秋には、先輩からも同級生からも後輩からも慕われるキャプテンになった。
きっと人柄がいいからだよね。
稜ちゃんはみんなに平等で自分に厳しい人だもん、口じゃなくて態度でみんなを引っぱる人だもん。
ずっと近くで見てきたから、稜ちゃんがキャプテンに指名されたときは涙が出そうだったよ。
だからさ、稜ちゃん。
今年こそ、高校最後の夏こそは、地区予選を突破して甲子園に行こうね。
わたしもマネージャーとしていっぱいサポートするから、みんなで甲子園に行こうね。
稜ちゃんが小さい頃からずっと変わらず抱いている夢・甲子園。
あの引っ越しの日、家の前に出てきたわたしたちに言った言葉。
━━━『僕の夢は甲子園で優勝することだ!』
絶対に、みんなで叶えよう。
わたし、信じてるからね。