白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
稜ちゃんを大好きな気持ち。

それが涙に変わって、わたしの頬をポロポロ伝っていく・・・・。


すると、稜ちゃんの温かな手がすっとわたしの頬に触れた。

そして、親指でそっと涙を拭う。

それは、すごく自然な仕草で、気持ちがよくて・・・・“ずっとずっとこうしていたい”という安心感をくれた。

それから、稜ちゃんはちょっと困った笑顔で言う。


「泣くなよ。・・・・これで俺の夢が1つ叶ったんだ、笑ってくれないと困るよ。俺、さっきも言ったじゃん」


って。

でもわたしは、そう簡単には泣き止めないし、うまくだって笑えっこない。


「・・・・うっ・・・・だ、だって・・・・」


だって、こんなに嬉しい誕生日プレゼントは生まれて初めてなんだもん・・・・。

わたしのために打つと決めてくれていたバースデーホームラン。

それをあんなに最高の場面で本当に打っちゃうんだもん。

泣いちゃうよ。

泣かないわけないよ。

稜ちゃんの・・・・バカ。

もうっ!

本当にバカ。

・・・・でも、本当に最高。
 

< 402 / 474 >

この作品をシェア

pagetop