白球と最後の夏~クローバーの約束~
稜ちゃんを大好きな気持ち。
それが涙に変わって、わたしの頬をポロポロ伝っていく・・・・。
すると、稜ちゃんの温かな手がすっとわたしの頬に触れた。
そして、親指でそっと涙を拭う。
それは、すごく自然な仕草で、気持ちがよくて・・・・“ずっとずっとこうしていたい”という安心感をくれた。
それから、稜ちゃんはちょっと困った笑顔で言う。
「泣くなよ。・・・・これで俺の夢が1つ叶ったんだ、笑ってくれないと困るよ。俺、さっきも言ったじゃん」
って。
でもわたしは、そう簡単には泣き止めないし、うまくだって笑えっこない。
「・・・・うっ・・・・だ、だって・・・・」
だって、こんなに嬉しい誕生日プレゼントは生まれて初めてなんだもん・・・・。
わたしのために打つと決めてくれていたバースデーホームラン。
それをあんなに最高の場面で本当に打っちゃうんだもん。
泣いちゃうよ。
泣かないわけないよ。
稜ちゃんの・・・・バカ。
もうっ!
本当にバカ。
・・・・でも、本当に最高。