白球と最後の夏~クローバーの約束~
でも・・・・。
それがかえって、わたしの心に大きな罪悪感の芽を出させた。
立ち聞きを怒っている感じはしないけど、でも・・・・。
すると───・・
「ふっ・・・・!岡田にカマかけられたよ」
稜ちゃんは“やられた・・・・”と苦笑いを浮かべて言った。
「・・・・?」
“カマ”・・・・?
曖昧な記憶を呼び起こしてみる。
そういえば、開会式で岡田君が同じようなことを言って・・・・。
“稜にカマかけただけ”
確か、そう言っていた。
岡田君の台詞を思い起こしていると、再び稜ちゃんが口を開く。
「岡田の奴・・・・“俺がいつまでも煮え切らない態度だったら百合は俺がもらう”って、そんなことを言ってただろ?」
肩を震わせて笑いながら、稜ちゃんはポカンと口を開けているわたしに聞いた。
「・・・・うん。確かそんなようなこと・・・・言ってた」
そう。
確かに言っていたんだ。
“俺が花森をもらう。俺ならお前みたいに泣かせない”
って・・・・。