白球と最後の夏~クローバーの約束~
思い出し笑いでもしているみたいなんだけど、わたしにはさっぱり状況が飲み込めなくて。
えっ? えっ? って、自転車の後ろでどぎまぎするばかり。
「マネージャーの寝顔、最高っ!部員みんなで写メ撮って・・・・ぶはっ!いつ起きるか見てたんだけど・・・・ぷっ!全然起きねぇの!」
え、えぇぇっ!!
わたしのとぼけた寝顔、みんなの写メになっちゃったの!?
最悪だ・・・・。
みんなにも、一番見られたくない稜ちゃんにも見られちゃったよ。
こらえきれずに爆笑しだす稜ちゃんとは反対に、わたしの心は沈んでいくばかり。
愛想笑いだってできないくらい、ガックリと肩が落ちたのが自分でもよく分かった。
「起きるまで待とうと思ったんだけどさ・・・・ははっ!暗くなっても起きねぇから、みんなには先に帰ってもらったよ・・・・くくっ!」
そんなに笑わなくてもいいじゃんよ。稜ちゃん・・・・。
わたしの目には、恥ずかしくて情けなくて、涙がじんわり浮かんできた。
こんな醜態、稜ちゃんの前だけでは絶対さらしたくなかったのに。