白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「・・・・ごめん」


さっきまでのキュン死にしかけていた気持ちや、稜ちゃんに送ってもらっているこのシチュエーション・・・・全部が全部、寝てしまった後悔にすり変わった。

最低だ、わたし。


「なんで謝るんだ?」


まだフフッと含み笑いをしながら稜ちゃんが聞く。

でもわたしは答えられなかった。

稜ちゃんの背中さえもまともに見られなくて、火が出るくらい火照った顔を落ちてきた涙で冷やす。


もう嫌だ。

穴があったら入りたい。

もう稜ちゃんが見れない。


「おい!」

「・・・・」

「マネージャーってば!」

「・・・・」


すっかり意気消沈したわたしは、稜ちゃんの声さえはるか遠くに感じていた。

そんなわたしを察したのか、稜ちゃんは一つ咳払いをすると、少しかしこまって言う。


「みんなかわいいって褒めてたんだぞ。だからそっとしといたんだよ。今日サボった誰かさん、惜しいことしたよなぁ〜」


って。

・・・・ちょっと棒読みな感じがしたけど。
 

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