白球と最後の夏~クローバーの約束~
甲子園へ・:*:・゚☆
2日後───・・
“いいこと”の衝撃も冷めないまま、わたしたち青雲高校は甲子園の土を踏んだ。
20年ぶりの決勝戦で西ノ宮学園を下して来たここ───“甲子園”の土を踏んだ。
小さな頃に交わした約束、2人で四つ葉のクローバーに願った夢の舞台・甲子園。
高校最後の夏がここから始まる。
わたしの隣には、幼なじみで野球部のキャプテンで、わたしを愛してくれる愛しい愛しい稜ちゃんがいる。
稜ちゃんの隣には、幼なじみで野球部のマネージャーで、稜ちゃんを愛するわたしがいる。
甲子園球場の前に立ったとき、外壁を縦横無尽に張り巡らす青々とした蔦(ツタ)をみんなで見上げた。
この場所に来られたこと、この目で甲子園球場を見られたこと、稜ちゃんの隣で同じものを見たり感じたりできる喜びや感動・・・・。
今までのいろんな日々が頭に浮かんで、わたしの胸はうち震えた。
稜ちゃんが連れてきてくれた甲子園、ここでのわたしたちの最高の夏は、まだまだ終わらない。
終わりたくない。
終わらせたくない。
この夏だけは・・・・。