白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
逃げるなんて、そんなもったいないことするわけないじゃん。

稜ちゃんにずっと捕まえていてもらいたいよ・・・・。

わたしだって、稜ちゃんをずっと捕まえていたい。

稜ちゃんが逃げたら、追いかけて追いかけて、必ず捕まえちゃうんだから。


「だろうな。百合は運動オンチだから、自転車に乗って逃げても捕まえられる・・・・ふはっ!」

「稜ちゃんの意地悪。わたしが乗れないこと、ずっと前から知ってるくせに・・・・」

「ごめんごめん・・・・ははっ!」

「バカッ!もう知らない!」


ぎゅぅーっ・・・・。

わたしがプンプン怒ると、稜ちゃんはすっと起き上がって抱きしめてくれた。


「ごめんってば」


そして、耳元で甘く囁く。


「・・・・ばか」





こんなに想ってくれる人、稜ちゃん以外にいないよ。

13年も片想いをしてくれていた稜ちゃん・・・・そんな稜ちゃんが誰よりも好きだよ。

わたしが一方的に好きなわけじゃなかったんだね。

稜ちゃんのほうが6年分、わたしを想ってくれていたんだね。
 

< 445 / 474 >

この作品をシェア

pagetop