白球と最後の夏~クローバーの約束~
相手ピッチャーが大きく振りかぶって、第1球目を投げた!
稜ちゃんは真剣な表情の中に自信満々な顔をチラッとのぞかせて、豪快にバットを振った。
ココちゃんたち吹奏楽部が、一生懸命に“狙い打ち”を演奏してくれている。
青雲高校のみんな、稜ちゃんやわたしの両親、部員たちの家族・・・・みんなが熱い声援を送ってくれている。
そして、稜ちゃんを誰よりも信じるわたしは、お守りを握りしめて微笑む・・・・。
カッキーーーーーーーーーンッ!
甲子園の空を真っ二つに裂いてボールが飛んでいく。
歓声にわき立つ球場。
応援団の太鼓の音。
メガホンの音。
たくさんの音が嵐になって、甲子園球場全体を揺るがす。
特大のソロホームラン!
稜ちゃんは満面の笑みでガッツポーズをしながらダイヤモンドをゆっくり一周していく。
そして、ベンチに戻ってくると、わたしとハイタッチで喜びを分かち合った。
「なっ? 俺、必ず打つって言ったろ?」
「うんっ!」
キラキラ輝く夏は終わらない。