白球と最後の夏~クローバーの約束~
未来へと・:*:・゚☆
あの熱い暑い夏の興奮から、約半年の時間が過ぎた───・・。
わたしたちは今日、たくさんの思い出が詰まった青雲高校を卒業する日を迎えた。
制服の胸には赤いリボン。
手には卒業証書。
目には大粒の涙・・・・。
「卒業生一同、起立」
司会の笹本先生が、声を奮わせながらわたしたちを促した。
「礼!」
そして、いくつになっても現役のスポーツマンらしい凛とした号令をかける。
「卒業生一同、退場」
・・・・あぁ、卒業しちゃった。
卒業式が終わっちゃった。
厳かな音楽が流れる体育館に静かに響く、みんなのすすり泣く涙の声の中を。
校長先生をはじめとする先生方、わたしたち卒業生の両親、在校生・・・・たくさんの人たちに見守られる中を。
わたしたちは、それぞれの新しい未来に向かって、大きくて小さな一歩を踏み出した。
1つの“終わり”から、また1つの“始まり”へ。
大切な大切な、長い人生の中で必ず誰もが踏み出す始まりの一歩。
それを一斉に踏み出した。