白球と最後の夏~クローバーの約束~
「いやさ、無理やり起こしとけばよかったのかなと思って。それともチャリのスピード、もっと落とせばよかったか?」
キュン死にだぁ・・・・。
わたしにはなんてもったいない言葉なんだろう。
テープレコーダーを持ってきて、もう1回同じ台詞を言ってもらって、録音したい。
それから、擦り切れるまで何度でも聞きたい・・・・。
「ううん!ただのわたしの自己管理不足だから!気にしないで!」
急に熱を持ちはじめた顔の前で、わたしは手をパタパタさせる。
きっとゆでダコだ。
「だって顔・・・・」
「違うのっ!これは、そのっ・・・・今が熱のピークだから!ただそれだけだからっ!」
「そう・・・・か?」
不思議そうな顔をする稜ちゃんにさらに焦ってしまうわたし。
意味不明なことまで口から出ちゃう始末で、なんだか情けない。
「うん。ほんとに大丈夫!」
「ならいいけど・・・・。明日は熱下げて出てこいよ? データ取るの岡田だけじゃ不安だし」
「うんっ!」
「分かった。じゃあな」
「じゃあね!」