白球と最後の夏~クローバーの約束~
布団に入る前に、向かいの稜ちゃんの家をカーテンの隙間から覗いてみる。
「稜ちゃん、今頃作戦考えてるのかなぁ。わたしのデータブック、役に立ってるかなぁ? 向こうのチーム、強いからなぁ・・・・」
わたしの部屋の向かいは、ちょうど稜ちゃんの部屋。
そこから、緑色のカーテンを透けて部屋の明かりが道路にぼんやりともれていた。
閑静な住宅街に住むわたしたちの家、ちょっと離れたご近所さんの家も、どれも似通った造りになっていて。
だから、わたしの部屋からは稜ちゃんの部屋が見える。
「頑張ってね、稜ちゃん。今年最初の練習試合、勝って自信つけようね」
そうつぶやいて、ゆっくりとカーテンを締め切った。
布団に入るとすぐに眠気がやってきて、稜ちゃんのおかげですごく幸せな気分で眠りにつけた。
いっぱい、いっぱい、いーっぱいありがとね、稜ちゃん。
今日だけは、稜ちゃんと幼なじみでよかったなって思うよ・・・・。