白球と最後の夏~クローバーの約束~

練習試合・:*:・゚☆

 
きれいに晴れた春の空、ふわりと漂う花の匂い、はらはらと舞い落ちる桜の花びら・・・・。

これぞ春!って感じのポカポカ陽気の中、わたしは今、青雲高校・野球部のグラウンドに来ている。

稜ちゃんのキュン死にフレーズが功を奏し、わたしの風邪はもう空の彼方へ・・・・。

なんちゃって。

すっかり体調が戻って、元気いっぱいだ。


今日は、今年最初の練習試合。

勝って弾みをつけたいところだけど・・・・って、あれっ?


「・・・・早く来すぎ?」


わたしはポリッとほっぺを掻く。

ブレザーのポケットに入れた携帯を取り出すと、時刻はまだ7時45分だった。


「はぁ・・・・。アホだ、わたし」


たまにこういうときがあるんだ、わたしって・・・・。

テンションが上がりすぎて、自分で歯止めが効かなくなること。


「・・・・しかたない、とりあえず着替えよ」


誰に言うでもなく言って、少し落ち込みながら更衣室まで歩く。


「そうだよ!ジャージに着替えなきゃ!制服で練習試合だなんて、ありえない、ありえない」
 

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