白球と最後の夏~クローバーの約束~
「今日は早いんだな。試合までだいぶ時間あんのに。・・・・でもまぁ、風邪も良くなったみたいだし。よかったよ」
「あ・・・・うん・・・・なんとか。ありがとう」
ピタリと足が止まったわたしの前まで来た稜ちゃんは、この爽やかな春の朝にも負けないくらいの爽やかさ。
そんな稜ちゃんに、すぐにカァッと赤くなるわたし。
最後まで言いきる前に、その顔を隠すように下を向いちゃう・・・・。
「あれ? まだ熱あんの?」
なんて稜ちゃんは聞く。
違うよ・・・・稜ちゃんのせいだよ。
「ううん!だいじょぶデス!」
あぁ・・・・また片言の日本語。
チラッと稜ちゃんを見ると、やっぱり不思議そうな顔をしていた。
「ならいいけど。気合い入りすぎなんじゃねーの?」
「・・・・はは」
稜ちゃんだってたっぷり気合い入ってんじゃん、なんて言えないよね・・・・。
誤魔化すように軽く笑った。
「ま、今日は快勝してやるよ。今年こそ甲子園だしな!」
「そうだね。頑張って!」
「おぅ!」