白球と最後の夏~クローバーの約束~
どちらかというとわたしは地味なタイプで、自分が目立つことはあんまり好きじゃない。
これといって取り柄もないし、成績だって中の中。クラスの中心にいるような子でもない。
“平凡”そのもののわたしが、稜ちゃんと釣り合うわけがない。
わたしが知っている稜ちゃんは、いつも輪の中心にいる子だった。
幼稚園のときも小学校のときも中学校も。そして高校でも。
ねぇ稜ちゃん、知ってる?
稜ちゃんを狙ってる女の子、いっぱいいるんだよ?
平凡なわたしが野球部のマネージャーってだけでも、気の強い女の子たちからはたまに白い目で見られるくらいなんだよ。
だからさ、わたしと稜ちゃんが幼なじみだってことはずっと隠しているんだ。
女の子たち怖いし。
きっと稜ちゃんもそのほうがいいと思うし。
わたしだってそのほうがいいし。
なんだかなぁ・・・・。
小さい頃から何も変わらないな、わたしって。
弱虫のまんま、17歳になっちゃったみたい。
強いインパクトがあるのは名前だけだもん、花森百合子って。
名前負けしてるよね。