白球と最後の夏~クローバーの約束~
そのあと、稜ちゃんは“走ってくる”と言ってグラウンドに勢いよく走っていった。
わたしは、まだドッキドキが治まらない小鳥の心臓を抱えたまま更衣室へ。
朝の稜ちゃんもかっこいい・・・・。
後光が差してるよ。
───そして・・・・。
あれから2時間弱が経った。
グラウンドでは、青雲高校と花北高校のナインたちが緊張した面持ちで整列している。
もうすぐ練習試合が始まる・・・・。
わたしが着替えて更衣室から出てくると、まだ8時前だというにも関わらず、部員たちが続々と集まっていた。
口々に「おはよ〜」「ねみぃ〜」なんて言いながら、部室へと消えていく。
わたしは、その様子を微笑ましく思いながら、でも、ピリッとした気持ちでそっと見送った。
8時過ぎには笹本先生もグラウンドに顔を出して、青雲高校・野球部は全員集合した。
・・・・ちょっと遅れて来たけど、もちろん、岡田君も。
そして、ウォーミングアップや戦術の最終確認を終わらさせて、今日の対戦相手・花北高校の到着を待っていた。