白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「よろしくお願いしますっ!」

「よろしくお願いしますっ!」


両チームのメンバーたちが一斉に頭を下げると、いよいよ試合が始まる。

稜ちゃんも応援する部員たちも、笹本先生も岡田君も・・・・それからわたしも、ドキドキとワクワクが入り混じった気持ちでグラウンドに散らばるみんなを目で追った。



先攻は花北高校。

一塁側に集まって、円陣を組んで「オオーッ!」と雄叫びを上げている。


後攻は青雲高校。

稜ちゃんがキャッチャーボックスに立って、みんなに「しまっていくぞぉー!」って言ってる。


その姿を見ると、お約束のように心臓がドクッ!ドクッ!と高鳴っていく。

本番の試合もそうだけど、練習試合だってこういう感覚は一緒。


わたしにとっても、いろんな意味で気が抜けない大事な試合なんだもん。

稜ちゃんにまた“データブック貸してくれ”って言われたときのために、ドライアイになりそうなくらい集中して試合見なきゃ。

やっぱり現金なやつだけど、少しでも役に立つことがしたいんだ。


よしっ!頑張るぞっ!!
 

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