白球と最後の夏~クローバーの約束~
「花森、寒いのか?」
がくっ。
そう気合いを入れたところで、のんびりした岡田君の声・・・・。
「え、な、なんで・・・・?」
出鼻をくじかれて、わたしは気の抜けた返事。
「だって、なんかブルブルしてないか? ブルドックか!」
「違うし・・・・」
なんやかんやとうまくかわして、わたしは自分の体をぐるりと見回してみる。
あ、確かに。
気づかなかったけど、膝がブルブルしてる。それに手元も・・・・。
「武者震いってヤツだよ!」
「はぁっ?」
だけど、岡田君は思いっきり眉間にしわを寄せた。眉毛がハの字になってる。
うーん。言葉の意味が分かんないってヤツだね、岡田君・・・・。
こういうことに関してはちょっとばかりオツムの弱い岡田君。
しかたがないから、意味を説明してあげるわたし。
「武者震いってのは、えと・・・・」
「落武者なのかよ?」
はぁ・・・・。
これだから岡田君は意味不明でつかめない。
まるっきり素でボケてるし。