白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「はぁあ〜・・・・」


ため息をつくのなんてざら。

背中が丸まっちゃって、小さい体がもっと小さくなってしまう。

太ももに乗せたヤカンみたいに丸くなっちゃうよ・・・・。


「おい!マネージャー!」


はっ。


「は、はいっ!」


バシャーン!


「なにやってんだよ、マネージャー・・・・。ヤカン落とすなってあれほど言ったのに。まったく、学習しろよな」

「ごめんなさい・・・・」


ランニングのメニューをこなした稜ちゃんが、少し離れたところでわたしを呼んでいたみたい。

それにも気づかないで、わたしときたら立ち上がった拍子にヤカンの水を地面に思いっきり撒いていた。

稜ちゃんが“学習しろよな”って言うのも当然。

だって、わたしは何度となくヤカンを落としていたから・・・・。

“ごめんなさい”と言ったわたしは、とたんに顔が火照って下を向いてしまう。

ほかの部員たちは、わたしがヤカンを落とすのは毎度のことだからもう慣れっこ。

クスクス笑われてしまった・・・・。
 

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