〈続〉一年後 恋の攻防戦〜クールな彼とちょっとドジな彼女の攻防戦〜
「うん」

そう返事したけど、絵梨花達が帰った後は、ぐちゃぐちゃに考えて、悶々とする頭を空っぽにしたくなり、部屋を掃除して気を紛らしていたら夜になっていた。

いつまでも連絡のない朝陽に苛立ち、ふて寝していたら、夜遅くに、部屋に私がいないと知った朝陽がほろ酔いで迎えにきた。

だが、彼から香る女物の香水に、怒りが爆発してしまった。

「仕事だったんじゃないの?」

「仕事に決まってるだろ」

「じゃあ、どうして多岐川さんと同じ香水がするのよ」

「…あいつも一緒だったからだ」

「なんで一瞬黙ったの?やましいことがあるからじゃないの?」

バンと勢いよく壁を叩いた朝陽のせいで、壁に穴があいた。

それにもムカついて

「言い訳できないんでしょ。出てって…幸せにするって言ったくせに、あの人と付き合ってたことも隠されてて、信用できない」

「聞いたのか?内緒にしてた訳じゃない…俺には昔のことでお互い割り切った関係だったんだ。だから、言わなかっただけだ」

「それは自分の保身の為でしょ…」

「莉子、愛してるのはお前だけなんだ。あいつにはこれっぽちも気持ちなんてない」
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