〈続〉一年後 恋の攻防戦〜クールな彼とちょっとドジな彼女の攻防戦〜
カシャ、カシャと写真を撮る砂羽さんに、戸惑っていた。

「ついでにペアのリングも見て見ましょうよ」と言う砂羽さんの掛け声で、またペアリングがいくつか出てくる。

前に来た時は、見せてほしいと言うまでガラスケースから出てこなかったのに、今回は、以前の対応と違うことに戸惑ってしまう。

購入したことのあるお客と、そうでないお客との差だろうかと首を捻りながら、砂羽さんの勢いに負けて指輪を見ていた。

「あら、この指輪シンプルだけど素敵ね」

私が見ていたペアリングは、ホワイトゴールドのリングで、曲面にブルーダイヤが一粒セットしてあるシンプルな物だが、とても引きつけられた。

「朝陽にも似合いそう」

「そうね、いいんじゃないかしら」

また写真を撮り、店員と目配せをした砂羽さんは、クリーニングが終わった指輪を受け取り、「じゃあ、次ね」と言って向かったのはカフェだった。

そこで軽食をとり、その間、どこかにメールを送った砂羽さんに、今度、連れて行かれたのはエステのお店だった。

「えっ、エステですか?」

「予約してあるから大丈夫よ。リフレッシュしましょう」

全身のフルコースが待っていて、この数日の不摂生が取れた感じで、体が軽く感じ、心もどこかスッキリしていた。
< 18 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop