不眠姫と腹黒王子~番外編~
私は言われた通り適当に近くの椅子に座った。
暇だし、あたりをキョロキョロと見回す。
ああ~、ここが宮の部屋だったらな。
アルバム漁ったり、ベッドの下漁ったり、クローゼットの匂い嗅いだりできるのに。
「円…さん?」
「え?」
ボーッとしていると、恵介くんが話しかけてきてくれた。
さっき真顔で目を逸らされたから嫌われてるのかと一瞬思ったけど…
なんか嬉しい。
「円さんも高3?」
「う、うん。そうだよ。」
「へぇ~。俺中3なんだ。」
「そうなんだ。じゃあ兄弟で受験だね。」
「そう。ねぇ、円さん…」
恵介くんはソファから立ち上がり、
私の目の前に来てしゃがんだ。
「円さんめっちゃ美人だよね。」
「え…そ、そうかな。」
これは、未来の姉として認められてる!?
きゃー、なんちゃって!
「なんで兄ちゃんと付き合ってるの?」
「え?んー…私がちょっと病気で…
治療に協力してもらって…というか。」
「へぇ~。薄幸の美少女、みたいな?
漫画みてぇ。」
「??アハハ…」
よくわかんないけど、とりあえず笑っとこ。
「いいな、兄ちゃん。
ねぇ、円さん。」
「何?」
「兄ちゃんのどこが好きなの?
俺、もっと円さんのこと楽しませてあげるよ。」
「へ…?」
「こんなパーカーも脱いでさ。
俺の部屋行かない?」
恵介くんは私のパーカーのチャックに手をかけ、にっこりと笑いかけた。