不眠姫と腹黒王子~番外編~
恵介side: 姉(?)
「兄ちゃんのどこが好きなの?
こんなパーカー脱いでさ。
俺の部屋行かない?」
よし、決まった!!
年下のこんな可愛い系イケメンに迫られて
落ちない女はいない!
この人見た感じ巨乳だし、可愛いし、巨乳だし。
兄ちゃんみたいな奥手なやつ、つまんねぇってどうせ思ってる。
てか今、ノーパンノーブラだろ!?
超やべぇ。最高シチュ!
こんな機会、逃してたまるかよ。
ジッパーにかけた手に力を入れようとしたその時、
「匂い。」
「は…??」
何が?
何の話?
俺がキョトンとしていると、円さんは真顔のまま言葉を続けた。
「宮の…き、恭介の
匂いが好きなの。」
「は………??」
こいつ、何言ってんの…?
「宮の柔軟剤の匂いが好きって思ってた。
でも…なんか恵介くんとは違うかも。」
「柔軟剤…」
「もしかして、兄弟で違う柔軟剤使ってる!?」
「使ってねぇよ!!」
「だよねぇ…」
円さんは俺との距離なんて全く意識していない様子で、うーんと唸り声を上げて考え込み始めた。
「なんだろう。
やっぱりフェロモン的な何かなのかな。」
「はぁ?」
「ちょっとさ、恵介くんの匂い嗅がせて。」
「はぁ!!!??」
円さんが近かった距離をさらに縮めようとしてきて、俺は慌てて突き放した。
「なっ…なっ、何考えてんだよ!
頭おかしいんじゃねぇの!?
てか、病気ってそういう病んでる系かよ!
気持ち悪いんだよ!」
円さんは尻餅をついたまま
キョトンとした顔で俺を見上げている。
ヤバ。突き放してこんなこと言って…
さすがに言い過ぎ…「プッ」
「アハハハハ…!!」
今度は俺が呆然とすることになる。
え?普通女ってこんなんされたら泣くよな?
なんで爆笑??
「やっぱ兄弟だー!
言うことも似るんだねぇ。」
「え…兄ちゃんもこんなこと言ったのかよ。」
「うん。」
「うんって…!
ひどいだろ!怒ったり泣いていいところだぞ。」
円さんは爆笑を抑えると、
俺の頭をポンッと叩いた。
「可愛いねぇ。」
「んなっ…」
俺は反省したばかりなのに、懲りもせずまた円さんの手を振り払うのだった。