不眠姫と腹黒王子~番外編~


お風呂から上がると、ゴウンゴウン回る洗濯機の上にパジャマっぽいものが乗っていた。

それを着て、リビングっぽいところへ入る。


「宮…?」

「お、上がったか。
シャンプーとかわかった?」


宮は私の前髪を手でそっと掻き分ける。

くすぐったくてなんだかドキドキする。


「うん。普通に書いてあるし。」

「そっか。」

その時、奥のソファに座っている『けいすけ』くんと目が合った。


私がそっと会釈すると、
「こいつ弟。恵介。」
宮が自然に紹介した。


「兄ちゃん、その人彼女?」

「そーだけど。」

「へぇ~。うける。」


う、うける!?
何がうけるの!?
てか全然笑ってないし。


「兄ちゃん外で猫かぶんのやめたんだ。」

「ああ。意図せずバレたからな。」

「そうそう。宮ったら、私たちのしつこさにぶちギレてクラスの女子にうっせぇ!って。」

私が口許を押さえて笑っていると、
また恵介くんと目が合った。

瞬間、真顔のまま私から目をそらした。


あれ…?これは…


「くだんねぇこと言ってんな。
服平気か?昔のだからサイズまだましだと思うけど。」

「え、うん。
ちょっとスースーするけど。」





「は……?」


沈黙が長く、リビングにも洗濯機のゴウンゴウンという音が聞こえてきた。


「お前…まさか…」

「へ?」

「下、着てないんじゃ…」

「うん。
パンツもブラもびちょびちょだったから。」


宮は顔を真っ赤にして私の頭をベチッと叩くと、
秒で二階に上って持ってきた分厚いパーカーを私に被せた。


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