ちっちゃくなっちゃいました(吐血)

朝起きると、いつも隣にいる私の彼氏の朔。

が、隣にいない。

あれ、今日なんかあったっけ?

いやでも今日は日曜日。

普段ならいつも2人でベッドでゴロゴロしてるはずなのに。

むくっとベッドから起き上がると、隣に見慣れない小さな男の子が視界に入った。




小さな男の子が視界に入った!?

ちょちょちょまてまてまて!

いつのまに!?

てか誰!?

この子誰!?

男の子はすやすやとおやすみ中。

いや可愛いけどさ。

可愛いけど…ん?

男の子の顔をまじまじと見ると、どこかの誰かと顔が重なる。

紺色のふわふわの髪、透き通るような白い肌、スッキリとした顔立ち。

「朔…?」

「んぅ…?」

「やべっ」

え、いや、今完全に朔と重なったんだけど。

男の子は私の声で目が覚めたのか、むくっと身体を起こす。

ジトーッと見つめてくる瞳は、朔そのもの。

「…愛ちゃん身長伸びた?」

「朔だ!?」

「は?何言ってんの当たり前じゃん」

「朔だぁ!?」

「うるっさい、とりあえず落ち着け」

さ、朔がちっちゃくなってるぅ!?

えまって可愛い。

可愛い。

可愛い。

あの、いや、うん。



可愛い。

「なんで俺ちっちゃくなって…あー…」

「心当たりあるのかよ」

「昨日翔から変な飴貰ったから多分それかも」

「記憶が鮮明で何よりです」

朔はぶかぶかのTシャツをパタパタとさせる。

ゔっ…今私の中の何かがやられた…。

そして私の手は自然とスマホに伸び、カメラアプリを開いていた。

「ちょ、動かないで!そのまま!」

「お前何するつもr「あぁその顔もいい!」ダメだこいつ」

私の手は止まることを知らず、シャッター音がカシャカシャと部屋に鳴り響く。

ちょ、美優ちゃんに電話しよ。

そう思って発信しようとした瞬間、電話がかかってきた。美優ちゃんだ。

「もしもしっ!ねぇあの聞いて!」

『ちょっと待ってこっちも聞いて!?』

「要件はなんだ早く言いたいんだけど」

『起きたら翔がちっちゃくなってた!』

「…はっ?」

翔くんがチッチャクナッテル?

『なんか3歳児みたいな小ささなんだけど。って、あ!ちょ!それ触っちゃダメ!落ちるから!』

うわーなんか大変そう。

うちの朔は大人しいからベッドから落ちn、いや落ちそうなんだけど!?

「あぁっ!朔落ちる!」

電話を肩で挟みながら、朔をベッドの奥の方に戻らせる。

「ちょっ、そっち行くわ!」

『おっけ!』

私は電話を切ってスマホをベッドに投げる。

「ん」

一言だけそう言った朔の方を向くと、お化け袖で両手を広げてくる。

かわっ…。

「おろして」

さっきベッドから落ちるって言ったからちゃんと守ったから私に抱っこしてもらおうと…。

可愛いかよッッ!!!

私は朔を抱っこして、カーペットにおろす。

朔体重かるぅ…。

シンプルに泣けるぅ…。

「服ないからそのままでいい?」

「ん」

えっ、何この子くっそ可愛いんだが。

朔はいつものようにスマホを手に取るも、手が小さくて指紋認証が効かず、むすっと頬を膨らませながらパスワードを入力した。

だから可愛いかよって…。

朔の顔よりスマホの方が大きくて、両手で操作してる。

だから可愛いかよって…!

朔のひとつひとつの行動に頭を抱えながら着替えて、朔を抱っこして外に出る。

やば、髪の毛めっちゃいい匂いする。

てかこの状況やばくね?

子供みたいじゃん。

いやまぁ今の朔は子供なんだけど。

誰にも会いませんように誰にも会いませんように誰にm「あれ、愛ちゃん?なにしてるの?」

はいフラグ回収乙ですさすが一級フラグ建築士愛ちゃん。

恐る恐る振り返ると、そこにはこてんと首を傾げた麻衣。

「ちょっと出かける!」

「そうなんだ!その、抱えてるのなに?」

ぎくっ。

鋭いなこの小娘…。

「え、えぇっと、いとこ!」

いとこ!?

そんな言葉出てくると思わなくて、自分で言って自分でビックリしたわ今。

これ大丈夫か…?

バレッバレの嘘だけど…ま、麻衣なら…。

「へぇ!めっちゃ可愛い!」

大丈夫だった!

ナイス麻衣!

今度何か奢ってやろう。

「じゃあバイバイ!」

「ばいばーい!」

急いで麻衣と別れたあと、小走りで美優ちゃんの家に向かった。



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