ちっちゃくなっちゃいました(吐血)
眩しい夕日が直撃して目が覚める。
そして目の前には俺の大好きな彼女の愛。
え、なんでここで寝てんの?
しかもここ翔ん家じゃん。
あ、そうか。
翔に食わされた変な飴のせいでちっちゃくなって…。
そういえば俺戻った?
むくっと体を起こすと、ダイニングテーブルと同じ目線になった。
あ、戻ってる。
良かった。
相変わらず愛の寝顔は可愛いなぁ。
俺の手は自然とスマホに伸び、カシャと写真を撮る。
「おはよう、朔」
隣から聞こえた小声に振り向くと、朔が俺の服の裾をちょいちょいと引っ張っていた。
「戻ったね」
「誰のせいだと」
「ごめんって…。でも、悪くなかったでしょ?満更でもなさそうじゃん」
図星なのがまた悔しい。
「…お前もだろ」
「まぁそうだけど」
あんなに楽しそうな美優久しぶりだったし、と付け足した翔。
たしかに愛も最近ちょっと暗かったっていうか…。
まぁ、楽しんでくれたんならなによりなんだけど。
長居するのもアレだし、愛おぶって帰るか。
起きたら?
そんなの知らん。
「んじゃ、帰るわ」
「おう!また今度」
なるべく起こさないように愛をおぶって、翔の家を出る。
え、愛普通に軽くね?
なんか空気背負ってるみたい。
全然起きないし。
てか俺ちっちゃくなった時の記憶曖昧なんだよな。
迷惑かけてないといいけど…。
「さく…」
「!?」
な、なんだ?
寝言か?
急にそんなこと言われたら心臓に悪いからやめてくれ…頼む…。
無意識にこういうことするタイプだと、ほんとに他の男に連れ去られちゃいそうで怖い。
「俺の前だけにしとけよ。ばーか」
聞こえるか聞こえないくらいの声で呟くと、
「んふふ…はぁい…」
なんて言いながら俺の視界の隅っこで笑うもんだから、実は起きてるんじゃないかと疑う。
これで起きてたら罪深いなぁ…。
愛が好きって言ってた曲を口ずさみながら家に足を向けた。