ちっちゃくなっちゃいました(吐血)
変に気持ちよく目が覚めると、僕の手は美優に包まれていた。
でも美優の手はちっちゃくて、彼女の手から僕の手がはみ出している。
そーっと手を離して朔を見送ったあと、今度は僕が美優の手を包んであげた。
小さくてサラサラしてて細くて爪が綺麗で、The女の子、って感じの手。
この手、いや、美優全てを守りたくて、僕のものにしたくて、握る力を少し強める。
それに気づいたのか、目の前の彼女はうっすらと目を開けた。
「翔…?」
「おはよう」
ボーッと僕を見つめたあと、その視線は自分の手に移動し、かぁっと顔を赤くした。
え、なに可愛い。
可愛い。
え、かわいi((
「離して」
「やだ」
起き上がって手を振り解こうとした美優の手をさらに強く握る。
「いつもこんな反応しないのに。なんで今日だけこんな反応するの?」
そうだよ。
いつもは満更でもなさそうな笑みで握り返してくれるのに、今日はなぜかそれを避ける。
「…だって、さっきまであんなに可愛かったのに、その、急に、カッコよくなるから…」
ん?
今この子とんでもないこと言わなかった?
急にカッコよくなったから?
つまりそれって僕に惚れ(て)たってことですよね?
「デレ美優発動」
「黙れ眉毛剃るぞ」
「やめてその愛ちゃん直伝の地味な嫌がらせ」
1年に1回あるかないかのデレ美優が見れたので僕はもう満足です今なら死ねます。
ずっと俯いたままの美優の肩をトントンと叩く。
振り返って目があった瞬間を、僕は逃さなかった。
「好きだよ」
唇を狙ってキス…ではなく、おでこをコツンと当てる。
キスはあまり好きじゃないらしいからね。
私もだよ、とデレッデレな空気になったあと、寝る寸前の記憶が蘇ってきた。
「そういえば美優、寝る時僕に大好きって言った?」
「…別に」
「あーやっぱり」
「うっさい」
「照れなくてもいいのゴフッ」
なんか知らないけど殴られましたひどい。
まぁデレ美優が可愛いので良しとしましょう。
「美優ベッド行こう?」
「は?なんで?」
「…なんででしょう?」
ニヤリと笑って僕は美優の手を引いた。