病んでる僕と最強の勇者たち
「シェーラさん、僕がこの国を救うために、僕は何をすれば……」



僕はまだこの異世界のことをよく知らない。



どこに何があるかもわからなければ、どんな人がいるのかもわからない。



それに僕は最強の賢者に転生したとはいえ、元はヘタレの高校生だ。



そんな僕にバリバリの判断力があるはずもなく、僕はシェーラに助言を求めた。



「賢者様には出会いの街に行ってもらい、最強の勇者様たちと共にベルミータ国に戻ってきて欲しいのです。

そして闇の魔王、ダーギラを倒して下さい。

それが私たちの願いです」



シェーラはそう言った後に高価そうなカバンの中から何かを取り出し、僕にそれを見せてきた。



「賢者様、これが出会いの街までの地図です。

それと少ないですが、これから冒険に出るためのお金をお渡しいたします」



シェーラはそう言って、何かがいっぱい詰まっている布の袋を僕の目の前に出して、その布の袋の紐を解いた。



すると、その布の袋の中にはたくさんの金貨が入っていて、僕は思わず目を丸くした。



「シェーラさん、この金貨って……」



僕が目の前にある金貨に驚き、そう言うと、シェーラは真っすぐに僕を見つめてこう言った。



「全部で100万ギルの金貨があります。

この金貨で必要な道具を買い、宿に泊まり、食事をして下さい。

もちろん闇の魔王、ダーギルを倒していただいた後には、国を挙げて盛大に賢者様の功績に報いたいと思っています」



100万ギルというお金の単位が僕にはよくわからなかったが、このたくさんの金貨が大金であることは僕にもわかった。



ヘタレだったはずの僕が異世界転生で賢者になり、ものすごく期待されていることが僕には不思議に思えていた。



僕は本当にアニオタ、引きこもり、友達いない系の但野明彦から生まれ変わることができるかもしれないと思いながら……。
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