病んでる僕と最強の勇者たち
『明彦君は将来、何になりたいの？』



小学校二年生のとき、担任の先生が僕にそう聞いてきた。



僕は先生のその質問に少しも迷わず即答していた。



『僕は将来、たくさんの人を救える賢者になりたい』



担任の先生は、僕のその答えに戸惑いながら、僕にこう尋ねてきた。



『明彦君はどうして賢者になりたいの？』



僕は担任の先生のその質問に目を輝かせながらこう答えていた。



『先生は知らないの？

賢者ってね、剣も魔法も使える最強の職業なんだよ。

選ばれた特別な人だけがなれるすごい戦士なんだよ。

僕はそんな賢者が好きだから、将来僕は最強の賢者になりたい。

それで最強の勇者たちと最高のパーティを組んで、悪いヤツらを倒したいんだ』



あのときの僕の回答は子供じみていて、担任の先生には伝わらない回答だったと今では思う。



でも、あのとき口にした僕の夢は、現実となって、僕の目の前に存在していた。



僕は最強の賢者だ。



そんな僕が、闇の魔王、ダーギルの手下なんかに負けるはずがない。



僕がそんな過去の記憶をたどっているとき、巨大なクモのモンスターが僕の方へと迫ってきていた。



僕はその巨大なクモのモンスターに向かって、全力で魔法を唱えていた。
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