病んでる僕と最強の勇者たち
「ぎゃぁぁぁぁ!」



右腕を斬り落とされたドロレスの叫び声が、ベルミータ国の薄暗い大地に響いた。



そしてマギーは、そんな戦況の中で己の集中力をさらに高め、新たに生み出したその技をドロレスに向かって繰り出していた。



「ドロレス、これが私の新技だ。

くらえ、必殺、十字剣!」



マギーの剣が高速で十字を描き、上段からの振り下ろしと、中段からのなぎ払いを組み合わせた新技の十字剣で、マギーはドロレスの体を斬り裂いた。



マギーの剣を受けたドロレスはその攻撃で絶命し、マギーは自分の信念通り、一撃必殺を成し遂げていた。



そしてドロレスを倒したマギーにブライアンが駆け寄り、笑いながらマギーに話しかけていた。



「さすがだな、マギー。

すげぇ、カッコ良かったぜ」



「苦しい戦いだったが、私の美学と信念を貫けた。

これで私はまた強くなれる」



「とか言ってさ、新技を出しちゃったじゃん。

必殺、十字剣とか言っちゃってさ」



ブライアンがそう言ってマギーを茶化すと、マギーは恥ずかしそうにこう答えた。



「バカなことを言うな、ブライアン。

十字剣は今まであった技の組み合わせでできた技だ。

私は一撃必殺の剣を捨てたりはしない」



ブライアンはそう言ったマギーに笑顔を見せ、マギーをカッコいいと心から思った。



普通の人は苦境に陥ったとき、信念を貫けない。



でも、マギーは違う。



マギーは自らの信念と共に生きる本物の剣士だ。
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