病んでる僕と最強の勇者たち
「死ね、ガキの賢者!

オレ様の剣で息の根を止めてやる!」



(エドモンドの剣が来る!)



僕は緊張の中で、エドモンドの剣に集中していた。



(エドモンドの剣を避けなくちゃ、僕に勝機はやって来ない。

大切な仲間たちのために僕は命をかける。

僕は最強の賢者、但野明彦だ!)



エドモンドの片手剣が僕の頭上に迫り、僕は命がけでその剣を必死に避けていた。



でも、エドモンドの鋭い剣は、僕の左腕を斬り裂き、僕の左腕から真っ赤な血が流れ出した。



「よく避けたな、ガキの賢者。

でも、オレ様との戦いの中で、貴様に反撃の余地はない。

時間と共に貴様は傷つき死んでいく。

それが貴様の運命だ!」



エドモンドの残酷な言葉が、僕の胸に突き刺さった。



確かにエドモンドが言った言葉には現実味がある。



もしかしたら、僕はエドモンドの予言通りに死んでいくのかもしれない。



もしかしたら、僕は……。



僕の心の中で不安がじわじわと膨らみ出したとき、僕の背中からリリーの悲痛な声が聞こえてきた。



「明彦君、負けないで!」



僕はリリーのその言葉に、反射的に振り返っていた。



すると、さっきまでは魂を抜かれたかのように、茫然自失としていたリリーが、瞳を涙で潤ませながら、僕のことをじっと見つめていた。
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